伯爵の嘆き

長い時を生きていればそれこそ無数の嘆きが存在する。
そんな嘆きを少しずつ振り返ってみようか…



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30年の時を越えて今、再び
1976年、昭和51年。
この年、私はまだ、当時7歳。小学校に入ったばっかりでした。
その頃、私はというと、「コンバトラーV」などのロボットアニメで夢中になっている時期で、超合金とか買って欲しくてたまらなかったのを覚えています。

その年、一本の映画が公開されました。
その作品は私にとっても忘れられず、今でも好きな邦画のベスト3に入るものになっています。
それは怖いけど、何故か哀しい映画です。最後はいつも泣いてしまいます。
昨日、実はレンタルでDVDで借りて見ましたが、やはり泣いてしまいました。
もう十回以上は見ています。話の筋書きも、全て知っています。
それでも、やはり泣いてしまう。
これは何故なのでしょうか?
多分、私の心の奥底に眠っている何かをいつも呼び起こすのでしょう。
幼い頃の、嫌々で堪らない日々を、思い出せるのかもしれません。
あの頃、もう外に出るのは嫌だし、人と会うのも嫌、挙句の果てには生きてもいたくない、そんな気持ちを強く抱いて、あの日々を。
しかし、私はこうして30年経った今も生きています。
そして、またあの怖くて、哀しい映画を観ることが出来ました。
その作品は誰もが別の人の為に、願いを叶えたい、助けたい、そう思う事により世にも哀しい惨劇が起こってしまう話です。
そう、邦画の名作とも言っても過言ではない「犬神家の一族」です。

私は勿論、映画館で観たことはありません。
再上映している時に観てみたいとは思っていましたが、一度も巡り会えませんでした。
私はテレビ放送で観たのが最初です。
その時は、高峰三枝子の恐ろしいばかりの形相で怖くて寝れなかったものです。
そしてその恐ろしい高峰三枝子の所業が全て、自分の息子の為、ということ。
息子も母を想い、自らの所業を行ってしまった、ということ。
もっとも、悪逆非道な男でさえ、自分の母親の為、恨みを晴らす為に行う。
全てが自分の欲ではなく、別の人の為。
それがこの作品の素晴らしさ。
昨今、親が自分の子供を殺す。
子が自分の母親を殺す。
そんな異常な世の中に、この映画が果たす役割は決して小さくはないと思う。
全篇に流れる音楽も哀しさに満ち溢れている。
大野雄二。ルパン三世でお馴染みの彼が音楽を担当しています。その為、何処か聞き覚えのあるメロディーですが、一度聞くと頭にこびり付いて離れません。
脇を固める役者も、個性があり、その上、素晴らしい演技を見せてくれます。
これが日本映画。
決してCGも、大規模なセットも使っていない、でも、間違いなく大作です。
私達日本人の琴線に触れる作品です。
その作品が30年ぶりに時を越えて、復活しました。
第19回東京国際映画祭のクロージング作品として「犬神家の一族」のワールドプレミアがありました。
この映画は先ほど言ったように、1976年、昭和51年に、角川映画第一作として公開されました。
物語の筋道も、犯人も結末も、全て知っている、何度も観た作品を30年ぶりにリメイク。
それも監督が同じ、主演も同じ。何人かのバイプレイヤーも同じと。
こんな映画は恐らく世界各国の作品を見ても少ないだろうと思います。
それだけに愉しみでありました。
映画に先立って、監督市川崑、主演の石坂浩二、松嶋菜々子、尾上菊五郎、冨司純子、松坂慶子、萬田久子、深田恭子と錚々たるメンバーによる舞台挨拶がありました。
監督は既に90歳。この歳で現役の映画なんてハリウッドにはいないでしょう。国内には新藤兼人が94歳でいますが。
こんな機会は恐らく今後無いかもしれません。
映画を一本撮るということは相当な体力が必要だと思いますし。
舞台挨拶で知ったことですが、前日に映画は完成したそうです。
それほど厳しい編集作業だったということです。
それでも監督にはあのカットも入れたかった、などキリの無い思いをしているようです。
そう思い続けられる監督は常に向上したいと、プロフェッショナルな人なのかもしれません。
今回の映画にはかなり驚かされます。
ロケ地が、30年前と同じそうです。
その為、かなりの苦労はされているようです。
前作はラストシーンが電車に乗るシーンなのですが、当然30年も経てば電車の形態自体も変わりますし、流石に昭和20年代初頭を舞台にしてるとは思えないでしょう。
そんな理由なのか、電車のシーンがありません。
それだけ拘っている、シーンがいくつもあるこの作品は前作以上の名作になっています。
昨今、TVドラマをそのまま2時間にして、映画として作っている中、このような作品は貴重です。
昔はこんな映画が多かった。
いつから変わってしまったのだろう。
この映画を観て、30年前くらいの昔の映画を再認識してくれたらと思います。
私は多分、正式公開してからも行くと思います。
この作品は私が今年観た映画の中でも当然ベストワンの作品です。
閃紅の伯爵 : 映画(私的感想あれこれ) : 01:44 : comments(0) : trackbacks(1)
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東京国際映画祭クロージング作品・ワールドプレミア『犬神家の一族』舞台挨拶@オーチャードホール
            意味はないが、過去最長(たぶん)のタイトルにしてみた(爆)市川崑監督が自らメガホンを取り、30年ぶりにセルフリメイクした、横溝正史・原作『犬神家の一族』が12/16の公開に先駆けて、第19回東京国際映画祭
|あんぱ的日々放談|∇ ̄●)ο : 2006/10/30 1:18 PM

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